現在の年金の受給年齢
現在の年金受給年齢を把握していますか?
かつて60歳だった受給年齢は、今は65歳にまで引き上げられています。
この65歳という年齢は、高齢者雇用安定法で定められており、希望者に対して企業は65歳まで再雇用する義務が課されるという法律です。
? 受給開始年齢と受給見込額
ちなみに繰り下げ受給年齢は70歳までとなっており、70歳まで繰り下げた場合は受給額が増加する仕組みになっています。
繰り下げ受給とは、年金受給を遅らせることを意味しており、その逆を繰り上げ受給と言います。
70歳という数字だけでも驚きに値しますが、厚生労働省では、なんと、さらに公的年金の繰り下げ受給を75歳にしようという動きが高まっているようです。
75歳まで繰り下げが検討される理由
実際、昔の60代と現在の60代では大きな違いがあることは確かです。
60代だけではなく、70代でも現役で、今も元気に働いている人が大勢おられます。
ただし、政府の思惑はそこがポイントではなく、年金の支給をできるだけ先送りしたい、といった理由が背景にあります。
65歳~70歳はひと月あたり0.7%の増加、70歳~75歳の場合だとひと月あたり0.8%の増加が見込まれます。
つまり、75歳まで繰り上げた場合、65歳で受給するよりも約2倍の受給額になる計算です。
銀行の金利が0.01%の時代に、この数字だけを見るとかなりお得なイメージですが、実際には、繰り下げ受給の利用者は厚生年金の受給者で1%、国民年金の受給者でも1.4%程度、ほとんど利用されていない制度ということになります。
その理由は特別支給となる老齢厚生年金の存在と言われています。
実際に繰り下げられた場合
実際に75歳まで繰り下げられた場合はどうするべきなのでしょうか。
基礎年金の受給を例にしてみると、65歳から受給した場合と、75歳から受給した場合で比較すると、お得になる線引きは86歳からという計算になるそうです。
人生100年時代とも言われるようになっていますので、いずれは75歳から繰り下げ受給をした方が得だと考えられます。
ただし、現時点において、これから繰り下げの選択を考えるという50代60代の人は、繰り下げ受給する人は少ないだろうと予想されています。
その理由には、まず年金制度に対する不安があります。
年齢は引き上げられ、支給額は減る一方、この制度そのものに不安を抱いているため、いつまで受給できるかわからない、確実に受給できるうちに貰っておこうという考えです。
もう1つには、86歳という高齢まで生きている保証はない、さらに健康でいられる確信もない、という理由があります。
私個人の意見としては、年金がお得になるからと無理に繰り下げる必要はないと考えます。
それまで必死に節約で無理をしたところで、受給前に命が尽きれば何の意味もありません。
長い老後を考え、節目毎にどうするべきか、状況に合わせて検討することが大切です。